平和の先駆者としてのファミリーコンステレーション

A. 家族の中で
B. 一般生活の中で、ビジネスで、私たちの職業において
C. 国家間、または宗教のような他の大規模なグループ間において


「ファミリーコンステレーション」の意味とは、何ですか?

 ファミリーコンステレーションでは家族が空間的に配置されます。より大きなグループでは、参加者であるクライエントが自身の家族のメンバーの代理人たちを選び、自身の内面の感覚に従って、その家族メンバーたちの相互関係を配置します。するとクライエントは、自分が想像していたものと異なる代理人たちの立ち位置に、通常驚きます。これは最初の外面的プロセスです。


 そして同時に、その代理人たちは彼らが代理している人々について何も知らないにもかかわらず、本人のように感じていることがわかります。時に彼らは、本人たちの症状をも呈します。例えば急に呼吸が困難になり、代理している人のような振る舞いで話します。これは、彼らが自身の精神的フィールドから移行し、ある期間だけこの別のフィールドに属することを意味します。したがって、コンステレーションの後に代理人たちが自身の精神的なフィールドに戻る為に、いくらかの時間と労力がかかることがあります。


背景

 これらの洞察は、数十年の観察と経験の結果です。これらの大半は、家族の中の2つの障害までさかのぼることができます。私は、家族についての話をすることから始めます。それは、これらの法則が民族、国家、宗教間の関係も含む全ての人間関係に、同じ範囲で適用されることが明らかになったからです。家族や大規模なグループに加え、企業や私達の仕事、健康の分野、および全ての成功と失敗に適用されます。

成功と失敗を決定する2つの基本的な法則:

1.誰もが同じ所属する権利を持っている。
2.誰もが自分のグループ内において特定の居場所を持っている。これは、このグループのメンバーである期間に依存している。この意味で、起源の階層的序列(*)がある。

[*訳注:そのグループに先に所属することになった者が上に、後に所属することになった者が下に来るという序列]

何が、これらの法則に背くことへ導くのですか?

1.これらの法則が、ほとんど知られていないということ。
2、これらは、私たちの良心の強力な駆動力により対抗される。

その結果はどうなりますか?

 ファミリーコンステレーションが明らかにする革命的な洞察は、全ての意識のレベルと行動のレベルにおいて新しい方向性を呼び覚まします。

では、ファミリーコンステレーションに話を戻しましょう。


スピリチュアルな(魂の)次元

 時間が経つにつれて、クライエントの家族やクライエントの問題について、それがどの領域で発生したかどうかに関わらず、コンステレーションのファシリテーターはほんの少ししか知る必要がないことが明らかになりました。ですから最近は、クライエントの為の1人の代理人か、または問題のための一人の代理人が配置されるだけのことが多くあります。

 代理人は通常、クライエントの問題については何も知りません。彼らは、彼ら自身の如何なる意図も持たず、それらのことも考えず、何が出てくるかという恐れも持たずに彼ら自身を内面の動きに委ねます。この中で、代理人たちはスピリチュアルな力(魂的な力動)によって取り込まれ、その役目に仕えているという感覚を持ちます。

 そして代理人の動きから、別の代理人が追加される必要があることを見ることができます。例えば、クライエントの代理人が地面を見ている時、コンステレーションのファシリテーターは別の代理人が地面に仰向けで横たわっていなければならないことを知ります。この代理人は、クライエントが惹きつけられている亡くなった人として、そこに横たわります。この代理人と、まだ加えられるかもしれない他の人も含めて共に、内面からの動きに導かれます。この力動は代理人たちの “内面のイメージ” や好み、そして恐れに関係なく、彼らを取り込みます。

 その結果は、どうなるでしょう?
 最終的に、互いに対立していた者たちが一緒になります。これは、加害者と被害者のように、最初は相容れないと思われたにも関わらず、お互いに共鳴するように起こります。ワーク中それらの力の影響下で、個々の代理人たちの中で、彼らを指示し導く平和のムーブメントが繰り広げられるのです。

 これは、コンステレーションのファシリテーターを含むその場に居る全ての人が意図を持たずに、彼ら自身の個人的価値体系を脇に置き、何が善で何が悪で何が間違いかという裁きから自由である場合に成功します。これは、これらの動きが良心の要求を超えたところで発生することを意味します。より高いレベルで、良心の影響下においてお互いに対立していた者たちを、再び一緒にするのです。

 ここで、非常に重要なポイントに達しました:ファミリーコンステレーションが、どのように平和のムーブメントとなったのかということです。ここで、ファミリーコンステレーションがどのように根深い対立を克服するかが明らかになるのです。お互いに対立していた人々やグループは、持続する深いところから本質的な方法で和解し、一緒になるのです。


良心による肯定感(潔白さ)

 ここでこれから説明することは、それが私たちにとって無垢な良心による肯定感(潔白さ)に別れを告げることに関わるので、通常初めは多くの抵抗に合います。ですから私は、このことについてどれくらい言うことが許されるのか、定かではありません。

 無垢な良心による肯定感(潔白さ)は、それが私たちにその生命や次の世代の生命における生と死を決定するような究極の犠牲を要求している場合でさえも、どこでも、いつでも注意しなければならない私たちにとっての至上の善、私たちの心の中の神の声として考えられてきました。

 ファミリーコンステレーションと私の良心に対する現象学的手法の正確な適用を通して、それぞれの個人は異なる良心による肯定感(潔白さ)を持っていることが明らかになりました。したがってほぼすべての葛藤は、それが小規模であろうと大規模であろうと、別の良心に対するある良心の覇権のための闘いによって引き起こされるのです。これは同様に、ほとんどの戦争においても真実です。

 何が永続的な平和に繋がるのでしょうか?
 別の良心による肯定感(潔白さ)にも等しい価値があると認識することによって、私たち自身の良心による肯定感(潔白さ)を克服することです。これは、全てに対しありのままに同意するスピリチュアルな(魂的な)動きに沿って、潔白さや良心による肯定感のもたらす境界を超えたところにある人類愛へと導きます。全てが、私たちの善と悪の区別や、神による肯定も追放もない、このスピリチュアルな(魂の)ムーブメントから起こります。


別の神

 ここに、心に留めておくべき基本的なことがあります。独自の共有された良心を持つ全てのグループは、また独自の神、彼らの良心の神を持っています。これらの神々は、“民主主義” や “共産主義” といった具体的な世界観の名の下に現れています。それらは、どの点から見ても宗教がそれぞれの神々をもってするのと同じように、絶対的な公の主張をします。彼らの独自の世界観では、彼らはまた、他の世界観に対して優越を感じています。また彼らは、他の世界観と戦う権利があり、さらには義務があると確信しています。全ての致命的な葛藤と同様に、これらはまた同じ信念の、同じグループに属する人々の潔白さや良心による肯定感から生じます。これらの世界観の名の下に繰り広げられる戦争は、どの点から見ても宗教の名の下のそれらの戦いと同じように残酷です。

 これらの良心の神々の上には、いわゆる良心が設けた境界を越える普遍的な力があるのですか? 全ての人々にありのままを望む力は、あるのでしょうか?


 私がここで述べたように、ファミリーコンステレーションではこの力が代理人たちの動きのなかで自ずと明るみに出ます。それはコンステレーションの中で、代理人たちが彼らを直ちに取り込むそのムーブメントに沿って留まる限り、感じたり直に見ることができます。


新しい意識

 不朽の平和は、別の意識を介して達成することができます。それは魂で始まるのです。平和へ向けた他の全ての努力は、しばらくの間成功する可能性があります。しかし多くの場合、それらは紛争当事者たちが疲れ果てているという理由だけで成功するのです。最後的に、それらつかの間の出来事なのです。

 ファミリーコンステレーションはこの別の意識に、そして全ての人類を1つの創造的な力による存在に在らしめ、存在させるように認める、平和に向けたムーブメントへと導くのです。これは全体に普及する平和は、異なる良心がもはや存在しないフィールドの、別の愛から始まることを意味します。これらの平和のムーブメントは、スピリチュアルな(魂の)ムーブメントなのです。このムーブメントの中で、それまで最高で最も貴い善と思われてきたものから、旅立つのです。このムーブメントの中では、良心による肯定感(潔白さ)、そしてそれと共にあるその人独自の神、特定の人だけをケアする神は置き去られるのです。

 この全てへの愛のムーブメントと調和した時のみ、永続的な平和が達成されるのです。


私の出版物について

 平和のムーブメントとしての大きなグループのファミリーコンステレーションの実践的な応用は、私が多くの書籍に記述し、多くのビデオ出版物の中で実演されています。今では、27の言語に翻訳されている80冊以上の本が出版されました。それらは、全て何らかの形で平和に寄与しています。

 近年私は、この新しい別の意識へと人々を導く書籍を書くことに焦点を当てています。それらは全て、良心を超えたフィールドへと動かします。短い文によって、この意識に沿って、またこの意識と調和している別の行動へと読者を連れ出します。この意味で、これらはまた全てにとっての平和に役立つ本です。

[本ページの文章は、ドイツ本国のHellinger sciencia公式サイトのページを翻訳したものです]